武市 好史
川辺 雅之
組織開発と人財教育の責任者
Project Story 01
組織開発/人財教育責任者 対談インタビュー
リユースで世界NO.1になるために、
スペシャリストの採用と育成が欠かせない。
Background

プロジェクトの背景

2035年度に売上1兆円を達成することを目標に掲げ、成長過程にあるゲオ。基幹事業の一つであるセカンドストリートは 国内で850店舗を超え、2029年までに1,000店舗の出店を目指している。また海外ではすでに6ヵ国で100店舗を超える。そんなゲオ社内で現在重要課題とされているのが、スペシャリストの育成と採用強化だという。スペシャリストとはどんな人財で、今後の事業戦略にどんな関わりを持っているのか。ゲオの今後の組織戦略を担う組織開発室の武市と、スペシャリストの育成を担うGGU人財教育部の川辺にその背景を聞いた。

Member

プロジェクトメンバー

武市 好史
武市 好史
グローバル組織開発室
GM

2002年新卒入社。ゲオストアの店舗勤務からキャリアをスタートし、店長・エリアマネジャー・ゾーンマネジャーなど複数の職掌を経て現職。グローバル組織開発室のミッションは組織づくり。ゲオが描く未来のために必要な組織の姿を描き、組織に必要な人財像を定義する。事業戦略に基づいた組織を構築するため、採用戦略や育成計画につながる多面的な活動を行っている。

川辺 雅之
川辺 雅之
GGU人財教育部
GM

2001年 にセカンドストリートのアルバイトとしてキャリアを始め、他業種での経験を経て中途入社。その後、店舗現場や本部勤務にて複数の職務を経験した後に現職。GGUはゲオグループユニバーシティの略称で、いわゆる企業内大学を指す。人財教育部という名の通り、グループ全体の教育を統括する部署にて、未来の会社を担う人財育成に挑んでいる。

01

スペシャリストとは、豊富な知識と経験を持ち、
組織に変革を起こせる人財。

「スペシャリスト」と聞くと、一般的には一芸に秀でた専門職のようなイメージを持ちます。まずは、スペシャリストがどんな人財であると定義しているのか、聞かせてください。

武市

実は、社内で研修などを行なった際にも「スペシャリストとは正確にどんな人財を指しますか?」と聞かれることがよくあります。私たちは、スペシャリストの定義を以下の3つに分類しています。

  1. 1.
    マネジャースペシャリスト

    マネジメントのスペシャリスト。部下を指揮、教育することにより数値を好転させ成果を生み出す人財です。ゲオグループでは社員約7,000名、パートアルバイト約25,000名(※)が在籍しています。部下がいて、人を束ねることを通じて成果を生み出すマネジメントスキルを持つ人財をマネジャースペシャリストと定義しています。

    2025年7月
  2. 2.
    タレントスペシャリスト

    部下を持たず、自身の知識や経験、技術を用いて数値を好転させる人財。衣料品や家電製品等を国内・国外からお客様に代わって探し、仕入れる、買い付けるバイヤーが分かりやすい例です。その他にも店舗の業務システム等、今、世の中にない新しい仕組みの起案や設計、システムを作ることができる存在と定義しています。

  3. 3.
    ヘッドスペシャリスト

    現場作業における動作モデルとなるような職人的作業熟練者となる人財 。特定の作業について、他の人は訓練しても真似できない特別な技術水準を持つ人であり、当社のビジネスの中では、例えば買取品の査定や真贋をスピーディに非常に高い精度で見極める能力を持つ人財が挙げられます。

スペシャリストと呼ばれる人財は、今までにも社内にいたんでしょうか。それとも近年になって新しく生み出した概念なのですか?

川辺

今までにスペシャリストに相当する人財がいなかったのかと言えば、おそらく存在していたんです。ただ、そうした優れた人財をスペシャリストと定義して、事業戦略の基で計画的に配置する。あるいは、スペシャリストを生み出すために体系に基づいた教育を行い、新たにスペシャリストのポジションに就けるということは、行ってきませんでした。

武市

これには、私たちの企業としての成り立ちが関わっています。例えばセカンドストリートという事業は2010年にM&Aによってゲオグループの仲間入りとなりました。こうした例は他にも多数あり、今までに数十 社もの企業と一緒になってきた結果、現在のゲオホールディングスがあります。社外から入社いただいた優秀な方々や中途入社の方々が活躍できる環境や、公正な評価の仕組みが当社の強みとしてある一方、中長期の育成計画が十分ではありませんでした。現在は多様な経験を持つ社内の優秀な人財をスペシャリストと位置づけ、これらの人財をお手本に社内から新たなスペシャリストを育成する、あるい は採用する動きをさらに加速させています。

スペシャリストを簡単な言葉で言うと、カリスマ社員のようなものですか?

武市

カリスマ社員という言葉は、私たちの取り組みとはかなり違います(笑)。スペシャリストとは、当社の人事制度の中に明確に組み込まれたポジションです。例えばマネジャーといった役職が付いていない社員であっても、スペシャリストであればマネジャー同様に周囲から一目置かれ、同等レベルの目標を掲げ、評価と報酬を手にします。役職に就かないと処遇が得られないような古い人事制度であれば優秀な技能や技術を持つ社員を適切に処遇できなかったと思います。

川辺

ただ、カリスマという言葉はスペシャリストへの取り組みを理解するための、一つのポイントになるかもしれません。というのも、私たちはある意味で、カリスマ社員という言葉を無くす活動をしています。カリスマとは、突出した社員に対して周囲が付ける形容詞でしかありません。スペシャリストとは、ゲオの配転教育や人財育成によって計画的に育成された人財です。そこでは当然、能力に則った正確な評価を受けられます。カリスマに変わるスペシャリストを計画的につくりあげ、その結果、事業成長を加速させていくことを目標にしています。

スペシャリストとは、豊富な  知識と経験を持ち、組織に変革を起こせる人財。
スペシャリストとは、豊富な  知識と経験を持ち、組織に変革を起こせる人財。
02

戦略的な採用と育成によって
“スペシャリスト”を計画的に生み出すことに挑んでいます。

突出した能力を持つスペシャリストを計画的に育成していく。いわば教育によって社内に秀才をたくさんつくっていくことに似ているとも思うのですが、どのような教育を行なっているのでしょうか。

武市

この点については、まず、自分の経験からお話します。私自身、もともとはゲオショップで店舗運営に携わってきた人間です。ところが今は、現場から離れて組織開発という業務に従事しています。異動を知らされた当初は、自分は店舗運営に能力を発揮できる人間で、本部の業務は自分に向いていないと思っていましたので「なぜ自分が!?」と、戸惑いました。

ただ、実際に業務を担当してみると、自分の隠れた能力や仕事の面白さに気付かされた経験があります。おそらく当時の上司を含めた周囲の人間や、人事のデータべースによって、自分の適性が今の業務にあると判断されたのだと思います。ゲオグループには配転教育という制度があります。ゲオグループで働くすべての人財は、複数の領域の部署・仕事を経験する中で自らの適性を見極め、最終的にスペシャリストを目指します。こうした、いわゆるOJTの中で専門性を高められる環境があることが、スペシャリストの育成につながっていくと思っています。また、言語化能力や論理的思考力など、座学によって基礎的な能力を高めていく取り組みは、川辺のGGU人財教育部で担当しています。

川辺

例えば武道の世界には「守破離」という言葉がある通り、やはり基本となる型を身につけることは大事です。その上で自分の適性を見極めて専門領域に進んだのちに、一つの分野を突き詰めていくスペシャリストになるのだと思います。GGU(ゲオグループユニバーシティ)という企業内大学では、基本を身につけるための複数の教育や経験の機会を提供しています。

またスペシャリストを育成するための重要な要素としては、キャリアプランの提示もあります。例えば新卒入社のケースでは、15年計画で各人のキャリアプランを立て、スペシャリストになるために必要な技術とはこれで、そのために、どこでどんな経験が必要なのかを全て、明確に提示します。

武市

その他、所属部署の上長によるフィードバック、評価、1on1といった取り組み。また、一人ひとりのキャリアを克明に記載した人事データなどによって、総合的に育成を行なっていく環境があります。

川辺

スペシャリストに求めるのは、変革です。変革を起こす人がいなければ企業は止まり、それ以上の成長はできません。市場だって常に変化します。同じことをやっているだけでは必ず衰退します。変革を起こせるスペシャリストが数多くいる企業は、強いんです。私たちは強い組織をつくっていくために、人事戦略の変革に挑んでいます。

戦略的な採用と育成によって“スペシャリスト”を計画的に生み出すことに挑んでいます。
戦略的な採用と育成によって“スペシャリスト”を計画的に生み出すことに挑んでいます。
03

誰もやったことがない挑戦には、
スペシャリストの力が欠かせない。

スペシャリストが求められている背景には、どんな事業の状況があるのでしょうか。スペシャリストの育成が順調に進んでいくと、どのような未来が待っていると想定していますか。

武市

現状では、社内に200名以上のスペシャリストが居ます。ただ、この人数では全く足りていません。創業から受け継いできたDVDなどのレンタルというビジネスモデルが大きな転換点を迎えました。そこで、新たにセカンドストリートを中心とした事業展開によって、我々は今後、世界にリユースという文化を広めていく新しい企業になりました。世界を狙う企業として、さらなるスペシャリストの増員が必要です。

川辺

セカンドストリートも国内では850店舗を超え、さらに海外展開も加速していく必要があります。今後のグローバル対応が必須です。ビジネスモデル、社内体制、どこを見ても変革が求められています。この歩みを止めないためにも、変革を可能にする豊富な知識と技術を兼ね備えた人財が必要です。

武市

私たちは、リユースで世界NO.1を目指す企業です。ただ、リユースの世界には決まったルールがありません。例えばこれが、一次流通の小売であれば、我々と同じぐらいの店数でお手本になるお店の取組みをされていたり、参考になる事例が多数あるため、自社に合うものを積極的に外から取り入れることができると思います。

ところがリユースは、まだまだ決まりごとが少ないフォーマットです。 お客様が明日、店頭にどんな商品を持ってきてくれるか分からない。不確定要素があまりにも多い事業形態です。日々、変わっていく状況の中で、今日・明日の売場をどうやってつくっていくのか、非常に高い専門性が求められます。

考えてもみてください。1,000店舗以上の販売網を持つリユースショップって、世界を見渡してみても他に無いんです。 私たちは今、誰も見たことのない場所に立っています。その上で、世界NO.1を目指そうとしている。誰もやったことがない挑戦をするわけですから、変革を起こせるスペシャリストを、それはもう、星の数ほど必要としています。

誰もやったことがない挑戦には、スペシャリストの力が欠かせない。
誰もやったことがない挑戦には、スペシャリストの力が欠かせない。
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